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人は誰しも、体験を語りたいという“煩悩”を抱えている――。
「4色ボールペン、北京でありましたよ」
「先週はうどんばかり食べました」
「1分もしたら、真っ赤だよ」……
私たちのことばには、そんな“煩悩”が見え隠れしている。
文法を考えるときに想定する「話し手」は、あまりに理知的で、合理的だったのではないだろうか。
しかし、実際に生きる私たちは“煩悩”にまみれている。
体験を語りたいという欲望は、時に、文法システムをゆさぶってしまうのだ。
私たちが日常で生みだすことばを、ありのままに見つめることで見えてくる本当のことばの姿。
私たちのことばの世界を探索し、体感する楽しみに満ちた一冊。
第1章 知識の文法と体験の文法
第2章 ワクワク型の体験
第3章 ヒリヒリ型の体験
第4章 環境とのインタラクション
補説 「生」と「面白い話」に根ざした文法
*本書は、2008年にちくま書房より発行された『煩悩の文法―体験を語りたがる人びとの欲望が日本語の文法システムをゆさぶる話―』(ちくま新書)の一部を加筆修正し、「補説」を新たに収録したものです。